湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2023年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第31節(2023年10月28日、土曜日)
- 強い両チームの、ボール奪取プロセス(守備)でのせめぎ合いが目立ちに目立っていた・・観ているこちらは、「もっとリスクチャレンジを!」ってな心の叫びが・・(アントラーズvsレッズ、0-0)
- たしかに、両チームともに、ボール奪取プロセス(守備)の「量と質」が、とても充実している。
・・というか・・
とにかく、基本に忠実であり、全員が、自ら「仕事」を探せるっちゅうわけさ。
そう、とてもハイレベルな「主体性プレー」の積み重ね・・ね。
基本的な「組織コンビネーション」、局面での寄せやマークの仕方などなど・・
基本的な「やり方」は、両チームともに、ポジショニングバランス・オリエンテッドかな。
まず、しっかりと「戻り」ながら、互いのポジショニングをバランスさせる。
そして、そんな「整った状態」から、ある瞬間、「ブレイク」をスタートさせる。
そう、相互のポジショニングバランスを、積極的に「崩して」、「人」をマークするんだ。
要は、チェイス&チェック(寄せ)ね。
もちろん・・
パスを受けた相手ボールホルダーへ、対応的(!)に寄せるのでは、遅い。
そうではなく、「最後の半歩のセンス」を活かし、しっかりと予測ベースのアクションに入るんだ。
そう、次のパスレシーバーを「予測」し、そこへのパスが出される「直前」に、そこへ急行することで、効果的なインターセプトを狙うわけだ。
そんな「発想」もまた、フォルカー・フィンケが言った、ボール(その動きへの!)オリエンテッドなアクションっちゅうわけさ。
あっと、試合・・
両チームともに、前述したボール奪取プロセス(守備)を、かなりハイレベルに機能させつづけているんだよ。
だから、両チームともに、簡単には、スペースを攻略できない。
だからこそ(セットプレーを除いて!)・・
両チームともに、なるべく「高い位置」でボールを奪い返そうとするわけだ。
そう・・
ボールを奪われ、相手が攻め上がろうとする状況で、うまく「ボールを再奪取」できれば、最高。
日本では「プレスバック」と呼ばれるプレーね。
ドイツじゃ、「ゲーゲンプレス」って呼ぶよね。
まあ、たしかに、そんなイメージングのボール奪取が理想ではあるけれど・・
でも、前へ重心がかかっている(攻め込んでいる!)状態でボールを失ったら、そうは簡単に、切り替えてプレスバックできない。
とにかく、「なるべく高い位置で、再び・・」ってな発想が、両チームに共通している発想だということが、言いたかった。
そして実際に・・
組織的な攻め上がりじゃ、まったくと言っていいほどスペースを攻略できないけれど・・
相手が前へ重心を移した状態で、プレスバックで、ボールを奪い返せれば・・
そりゃ、相手の人数&ポジショニングバランスが崩れているわけだから、ビッグチャンスにつながるケースも多いよね。
あっと、ここで確認いただきたいコトが・・
最初から、「トーナメント戦術」でゲームに入るようなチームは、決して進化&深化など望めないっちゅう、不文律があること・・ね。
そう、リトリートし、しっかり守ってカウンターってな、後ろ向きのゲーム戦術ね。
もちろん、彼らも、より高い位置でボールを奪い返そうとは、しているんだろうけれど・・
それでも、相手を「こさせて」カウンターを仕掛けるっちゅう基本的な発想は、サッカーの進化&深化にとって、大きなブレーキなんだよ。
わたしは、リヌス・ミケルス、ヘネス・ヴァイスヴァイラー、ヴァレリー・ロバノフスキーといった、世界サッカーのレジェンドから、そのメカニズムを、叩き込まれた。
・・(例のダミ声で)いいか、リスクチャレンジのないところに、進歩なんて、ないんだぞ!!・・
勝つこと「だけ」をターゲットにした、ゲーム戦術・・!?
そうではなく、あくまでも、前向きに、積極的&攻撃的に、サッカーをするんだよ。
その意味で、両チームともに、サッカーの魅力を振りまいていた。
でも残念なことに、ノーゴールに終わった。
それでも、それによって、(結果とは関係なく!?)少しは、日本が進歩したんだ・・と、思う。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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