湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2024年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第6節(2024年4月3日、水曜日)
- チカラの差は、歴然だった・・また、どちらが、日本サッカーの将来にとって、より価値があるかも、明白だったと思う・・(ゼルビアvsサンフレッチェ、1-2)
- レビュー
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- 最高テンションのなかでも、微妙な「差異」は感じながらの観戦だった。
ゼルビアの「超絶」徹底サッカーについては、「このコラム」や「あのコラム」をご参照あれ。
またミヒャエル広島サンフレッチェについては、何といっても、素晴らしかった開幕戦コラムを、ご参照あれ。
ところで・・
ゼルビアが、ブチかましつづける、超絶の徹底サッカーだけれど・・
ボール奪取プロセス(守備)では・・
なんといっても、素早い攻守の切り替えからの、忠実なチェイス&チェック(寄せ)とマーキング&カバーリング、もちろん局面デュエルでも、闘う意志の強さを感じさせる。
ただし、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)では・・
どうも、「芸」が足りないと感じるんだよ。
彼らが「徹底」しようとしているのは・・
カウンター攻撃、ロングスローも含めたセットプレー、一発タテロング攻撃、そしてクロス攻撃などくらいかな。
もちろん、「つないでスペースを攻略しよう」なんていう発想は、薄い。
そしてゼルビア選手たちは・・
攻守にわたって、自分たちに「与えられたイメージング」を、徹底的に「追求」しつづける。
そりゃ、ツボにはまったら、危険このうえないし、勝負強い。
とはいっても・・
そう、仕掛けの「変化」という視点じゃ、ミヒャエルのところに、一日「以上」の長があるわけだ。
彼らは、しっかりと人とボールを動かせるんだよ。
そんな「協力ワーク」のなかで、選手たちが、主体的に考えながら、次の仕掛けの「イメージング」を、アタマに描き、チームメイトと、明確にシェアしようとするっちゅうわけだ。
そんな、描写イメージングの「着実」なシェアこそが、ミヒャエル・スキッベの「プロコーチとしての確かなウデ」の証明なんだよ。
この、主体性プレーこそが、彼らのスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)のキモでもある。
だから彼らの場合は、「逃げのパス」なんていう概念は、辞書に、ない。
そのように・・
しっかりと人とボールを動かせるからこそ、パスレシーブの動きも、活性化する。
そして、だからこそ、変化に富んだスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)をブチかませる。
冒頭で書いた、両チームの、微妙な「差異」だけれど・・
ここまで書いてきて、それは、やっぱり、両チームの「実力差」って表現するのがフェアだって思い直したモノさ。
もちろん・・
黒田剛ゼルビアは、そのサッカーが、超絶に「徹底」しているからこそ、とても危険で、勝負強い。
でも、美しくはないし、魅力的でもない。
要は、進化&深化のリソースには、なり得ない・・っちゅうわけだ。
勝ちゃ、何でも、いいのか!?
わたしは、そうは考えない。
前にも書いたように・・
プロとして、日本サッカーのなかに、進化&深化のための「何らかの糧」を充填できなきゃ(日本サッカーに貢献できなければ!!)いけないと思うわけさ。
えっ!?
俺って、原理主義者!?
うん、そう揶揄されても、いいよ。
でも私は、あくまでも、サッカーの本質的な「社会的価値」を追求していると思っているんだよ。
イレギュラーするボールを足であつかうことで、不確実なファクターあふれるサッカー。
そう、一般の社会が、そうであるようにね。
だからこそサッカーは、21世紀の日本にとっても、ある意味の「イメージリーダー」的な存在になり得るって確信しているんだよ。
そのためにも・・
不確実なシチュエーションを、勇気と強い意志をもって、主体的(!!)に乗り越えていけなくてはならないって考えるのさ。
プロサッカーにとっては・・
そんな「覚悟」こそが、決定的な意義をもっているし、それこそが、21世紀の日本社会に、とても価値のあるポジティブエネルギーを注入するバックボーンなんだと思う。
あっ、スミマセン・・
またまた、語ってしまった。
では、また〜〜・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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