湯浅健二の「J」ワンポイント
- 2024年Jリーグの各ラウンドレビュー
- 第9節(2024年4月21日、日曜日)
- 2024_J1_第9節・・皆さんもご存じのように、私は、ゼルビアのサッカーが、好きではないし、たまに、苦々しくさえ思います・・でも、そんなサッカーだって、「アリ」だと「も」思うのですよ・・(FC東京vsゼルビア、1-2)・・(2024年4月21日、日曜日)
- レビュー
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- 寄せ・・命。
そういえば、昨シーズン、「J2」のゼルビアについて、そんな表現をしたことがあった。
そうなんだよ・・
とにかく、ボールへの「寄せ」と、局面デュエルの内実に、彼らの、すべての「意識と意志パワー」が注入されつづけていたんだ。
そのテーマについて・・
ダゾン解説の太田宏介が、とても冷静な声音で、こんなニュアンスの内容を語っていた。
曰く・・
・・ゼルビアの黒田監督は、フィジカルコンタクトへの姿勢が十分じゃない選手は、決して使いませんよ・・
・・それは、試合に出られるかどうかの試金石なんです・・
・・とにかく、点を取られないサッカーの徹底に、こだわりつづけているということです・・
たしかに・・
ゼルビア選手がブチかましつづける、最高の意識と意志パワーが込められた、ハイレベルな局面デュエルの内容には、驚嘆する他ない。
もちろん、だからこそ、局面デュエルでのファールは多い。
絶対に、相手を、フリーで行かせないっ(!!)という、強烈な意志が、炸裂する。
身体全体を、ものすごいダイナミズムで駆使するフィジカルコンタクト。
まさに、魂さえ込められているかの、ごとく。
太田宏介、曰く・・
・・フィジカルコンタクトができない、やらない選手は、決して使われませんからね・・
町田ゼルビアのライバル関係における、もっとも大きな要素の一つっていうコトなんだろうね。
フムフム・・
もちろん、黒田剛ゼルビアは、決して「アンチ・フットボール」なんかじゃない。
また、「J1」に上がってからは・・
昨シーズン(J2)のような、守備ブロックを「固め」、そこから、ロングボールやムリキのドリブルによる一発カウンターを狙うってな、チト低級なチーム戦術からも、脱却している。
その背景には、新戦力が充実してきているという側面もあるんだろうね。
またそこには、ボール奪取プロセス(守備)における「最後の半歩というファクター」を、あのレベルまで、「充実」させられているという事実も、ある。
最後の半歩というファクター・・
それには、守備での「イメージング」を充実させるというニュアンスが込められている。
そう、相手のスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)の流れを(次のボールの動きを!)、しっかりと予測するような、主体的なプレー姿勢のこと。
それが、相手の決定的シュートやクロスを、ギリギリのところでブロックする最後の半歩になったり、決定的ピンチの瞬間におけるカバーリングを成功させたりする。
町田ゼルビアは、その、最後の半歩というファクターという視点でも、特筆の「意識と意志パワー」に溢(あふ)れているとも感じるね。
対する、クラモフスキー東京。
攻守にわたって、クオリティーを感じさせる「主体性プレー」は魅せたけれど・・
結局は、最後のトコロで、詰め切れず、悔しい敗戦を喫することになった。
ダゾン解説の播戸竜二が、最後に、こんなコトを語っていた。
・・たしかに数字では、FC東京に分があるように見えるけれど・・
・・でも実際には、終始、ゼルビアのペースで試合が推移していたんですよ・・
私も、その評価に、アグリーだね。
もちろん・・
黒田剛のサッカーが、日本サッカーの将来を左右する、主たるベクトルになるとは、思わない。
目指すべきなのは、もちろん、美しい質実剛健サッカー・・なんだよ。
それでも、いまのゼルビアのサッカーが、何らかのトーナメント(ノックアウト)大会では、確実に、チカラを発揮するであろうコトも、確かな事実なんだよ。
今のところ、「J1」では、第6節に、ゼルビアのホームで、チカラの差を魅せつけた、ミヒャエル広島サンフレッチェの実力が、もっとも高いと思うよ。
この試合の、グラウンドの「現象面」において、両チームの「差異」を、明確に感じるのは、そんなに簡単じゃないとは思うのだけれど・・
とにかく・・
私の眼には、両チームの「コンセプトの質の差」や、「美しさの質の差」といった、プロサッカーには欠かせないファクターで、ミヒャエルのトコロが、明確に上回っていたって映っていた。
もちろん、勝つことだけ(負けないこと!)を具体的ターゲットにするチームが、リーグを闘っていても、そりゃ仕方ない。
でも、一つだけ、忘れないで欲しいコトがある。
プロサッカーには、目指すべき(!)絶対的ルール(不文律!?)がある、ということを。
それは・・
すべてのサッカー人は、「美しく勝つ」ことを志向しなきゃいけないというコト。
そうではなく・・
超絶の徹底(戦術)サッカーばかりが横行したら・・
それは、必ず、プロサッカーの衰退につながる。
そりゃ、そうだ。
そんなサッカーは、やっている選手たちにとっても、楽しいモノじゃないからね。
ということで、チョット、大袈裟かもしれないけれど・・
サッカーは、人々の生活を(精神的&物理的に)豊かにする社会的ミッションを担っているんだよ。
そのコトが、言いたかった。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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