湯浅健二の「J」ワンポイント


2025年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第1節(2025年2月14日、金曜日)

 

2025_J1_第1節・・香川真司と宇佐美貴史の「プレーぶり」が、両チームの、全体的なサッカーの内実を象徴していた!?・・(ガンバvsセレッソ、2-5)

 

レビュー
 
素晴らしい、「J」のプロモーションマッチだった。

両者ともに、素晴らしいボール奪取プロセス(守備)を絶対ベースに・・

次の、魅力的な、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)をブチかましていった。

そう、誰もが、両チームの、エキサイティングな(フルパワーの!)、攻守にわたる主体性プレーの魅力に、惹きこまれていたんだ。

もちろん私も、心から楽しんでいたけれど、でもやっぱり・・

そう、「愛する神は細部に宿る・・」ってな視点で「も」、ゲームを追いつづけていたんだ。

たしかに、細かなトコロなんだけれど・・

わたしの眼には、人とボールの動きと、そのリズム・マネージメントという視点で、セレッソに、一日の長があるって映っていたんだよ。

要は、セレッソでは・・

人とボールの動きのリズム・マネージメントが素晴らしいことで、次、その次の「連係アクション」が、途切れないっちゅう表現が、的を射ているかな。

セレッソ選手たちは、次に、どこへ、そして「どのタイミング」で、ボールが動いてくるか(パスが出るか!)、鮮明にイメージング出来ているって感じられたのさ。

新任監督のオーストラリア人、アーサー・パパスは、ホントに、良い仕事をしている。

対する、ダニエル・ポヤトスに率いられたガンバ・・

例によって彼らのスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)は、宇佐美貴史を筆頭にした「個の巧さ」や、スピードを前面に押し出してくる。

そう、セレッソとは違い、彼らのスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)では、より「個のチカラ」にアクセントが置かれているって感じられるんだよ。

もちろん、そんなタイプのサッカーがあってもいいし、それこそが、ガンバの魅力ということなんだろうけれど・・さ。

でも、「自分たちのサッカー」に対する、イメージングの「共有」という視点で、わたしの眼には・・

相手の(ウラの!?)スペースを攻略し、ある程度フリーなボールホルダーを創りだすという意味合いで・・

セレッソの方が、よりスマートなサッカーを魅せているって思えるわけさ。

だからこそ、セレッソでは、究極の組織サッカーである、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションだって、効果的に、繰り出していける

あっと、セレッソの組織サッカーは、こんな利点も生み出・・

人とボールが、軽快に動きつづけることで、うまくスペースを攻略できるからこそ・・

ルーカス・フェルナンデスに代表される「勝負師」たちの、個の勝負プレー「も」、光り輝かせるコトができるっちゅうわけだ。

そう、セレッソは、とてもハイレベルな、「組織」と「個」のバランスを魅せつづけているんだよ。

ということで、その視点で、このコラム最後のポイントを・・

それは、両チームの「戦術的&精神的な中心プレヤー」の、プレーコンテンツの「差異」。

セレッソでは、香川真司。

ガンバでは、言わずもがなの、宇佐美貴史。

わたしは、この二人の、攻守ハードワークとリスクチャレンジ姿勢の違いこそが・・

前述した、両チームの、微妙な「戦術的な差異」を象徴しているって感じていたんだよ。

香川真司の、攻守ハードワークの内実は、ヨーロッパでも認められた、素晴らしいコンテンツを内包している。

でも、宇佐美貴史の、ボール奪取プロセス(守備)ハードワークについては・・

特に、チェイス&チェック(寄せ)の内実は、決して、誉められたモノじゃない。

それが、積もり積もって、チーム全体の「雰囲気」に、ネガティブな影響を与えている!?

宇佐美貴史は、日本サッカー史に残る、素晴らしい才能に恵まれた天才だ。

でも・・

そう、彼は、決して、ディエゴ・マラドーナやリオネル・メッシ、はたまた、ブラジルのロナウジーニョといった、「超天才」じゃない。

それに対して香川真司は、着実に、攻守ハードワークとリスクチャレンジを積み重ねるなかで、チーム全体の「闘う意志」を高揚させられる。

そのコトは、ゲームの内実を、しっかりと観れば、明らかな事実でしょ。

惜しいね、宇佐美貴史が秘める、「日本サッカー史を彩る天才」・・

宇佐美貴史については・・

以前発表した、「こんなコラム」や、2011年ドイツ女子W杯からの帰途に書きつづった(飛行機に乗る直前!)「あんなコラム」も、ご参照あれ。

とにかく、素晴らしいコンテンツに溢れたこの「J」開幕マッチは、サッカーの価値を、再認識させてくれた。

同じサッカー人として、両チームの猛者に対して、心からの称賛と感謝の拍手をおくります。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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