湯浅健二の「J」ワンポイント
2025年Jリーグの各ラウンドレビュー
第16節(2025年5月11日、日曜日)
こんな、ハイレベル魅力マッチを、それも国立競技場で披露してくれたコトには、ものすごく大きな「価値」があった・・同じサッカー人として、両チームに対し、心からの称賛と感謝の拍手をおくります・・(アントラーズvsフロンターレ、2-1)
これぞ、リーグ実力トップ同士の、ギリギリの勝負マッチ。
攻守にわたって、チカラのある両チームが、秘術を尽くした。
もちろん、そこには・・
攻守にわたって、全員が、まさに例外なく全員が、「仕事」を探しまくっていたっちゅう決定的ファクターが隠されている。
そう、仕事(≒攻守ハードワーク)を、積極的&攻撃的に、探しまくるプレー姿勢・・
それこそが、主体性プレーの本質なんだよ。
その視点で、ものすごく楽しめたし、とにかく面白い、最高レベルの攻守せめぎ合いだった。
また・・
そう、解説が、「あの」田中碧と福西崇史・・
ということで、彼らのハナシも、「なるほど・・なるほど・・」ってな感じで、納得し、その内容を、アタマのなかで掘り下げていたよ。
もちろん彼らは、選手たちの部分的な「立ち位置の変化」は指摘する。
それでも彼らは、それらの変化が、局面シチュエーションに、どのように影響を与えているのかを、しっかりと把握している。
そう、彼らは・・
決して、その(カタチの!?)変化があったから・・こうなった・・なんていう低次元の指摘はしない。
そうではなく、あくまでも、攻守の「目的」を達成するための局面プレーの「背景ファクター」に注目してコメントしていたんだ。
まあ、最高レベルで「確かな体感」を積んできたからこその、興味深いコメントではあった。
さて、ということで・・
このハイレベル勝負マッチは、結局、アントラーズの勝利ということで決着したわけだけれど・・
わたしは、サッカー内容では、少しだけ、ほんの少しだけ・・
ACL準優勝を果たしたフロンターレに、一日の長があったって感じていた。
それは、この二つの視点・・
「人とボールの動き」と、「組織プレーと個人勝負プレーのバランス」。
その二つの視点で、フロンターレに、小さなアドバンテージがあったって、感じていたんだよ。
人とボールの動きでは・・
もちろん、その「軽快なリズム・マネージメント」でも、優位に立っていたフロンターレは・・
これが、もっとも大切な視点なんだけれど・・
しっかりと人数をかけるなかで、たまに、素早くスムーズな、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションまでも、ブチかませていたっちゅうコト。
そして彼らは・・
スペースを攻略したところから・・
組織パスで仕掛けていくだけじゃなく・・
エリソン、マルシーニョ、伊藤達哉といった「個の勝負師」たちが、ここぞ(!!)っちゅう場面で、勇気をもって、とても危険な、個の最終勝負「も」ブチかましていたんだ。
そんな、「組織と個のバランス」がうまく機能していたからこそ・・
彼らのスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)が、高い確率でゴール機会へ結びつけるなど、ハイレベルな実効プレーを魅せていたわけだ。
でも・・
そう、対するアントラーズの守備ブロックは、とても堅い。
たしかに何度かは、「決定的ゴール機会」を創り出したモノの・・
結局、アントラーズの、「ギリギリ局面でのカバーリング」などの、強烈な「壁」をブチ破るところまで、いけなかった。
まあ、とにかく・・
こんなハイレベルな、魅力マッチを、国立競技場で披露してくれたコトには、ものすごく大きな「価値」があったと思う。
同じサッカー人として、両チームに対して、心からの称賛と感謝の拍手をおくります。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-
"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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