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- 2011_ヨーロッパの日本人・・ブンデスの「降格リーグ」と長谷部誠・・(2011年4月17日、日曜日)
- 何かサ・・、このところ、ブンデスリーガを観るとき、ちょっと「重た〜い気分」になってしまうことが多いね。要は、「降格リーグ」が観戦の中心になってしまうということだけれど・・
何せ、「降格リーグ」で主役を演じているクラブには、「ヨーロッパの日本人」だけじゃなく、個人的に、とても「距離」が近い友人もいるわけだから・・。そう、つい最近アイントラハト・フランクフルトの監督に就任したクリストフ・ダウム。もちろん、彼の右腕であるローラント・コッホも一緒ですよ。
クリストフ・ダウムについては「このコラム」。ローラント・コッホについては「このコラム」を参照して下さい。
そのフランクフルトだけじゃなく、ヴォルフスブルクには長谷部誠がいる。シュツットガルトには岡崎慎司がいる。また、1.FCケルンには槙野智章もいる。そして今節の彼らは、岡崎慎司(シュツットガルト)を除いて、厳しい闘いを強いられた。
一昨日から所用が重なったためにビデオを観る余裕がありませんでした。でも、日曜日の夕方になってやっと落ち着いた。ということで、これから録画しておいた勝負マッチを観はじめよう思います。でも、たくさんあるよな〜・・
リーガエスパニョーラの「クラシコ」・・ケルン対シュツットガルト・・ヴォルフスブルク対ザンクト・パウリ・・ヴェルダー・ブレーメン対シャルケ・・。また、長友佑都のパルマ対インテルもあるし、宮市亮や家長昭博もいる。フ〜・・
でも、まずは、降格リーグ真っただ中のガチンコ勝負、ヴォルフスブルク対ザンクト・パウリからいきましょうか。ということで、後で、「大人」の長谷部誠を手始めにコラムを書きはじめます。スミマセン・・前段「だけ」で・・では後で〜〜・・
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・・ってな意気込みだったけれど、途中でまたまた野暮用が入ってしまいアップが遅れてしまった・・悪しからず・・。ということで、やっと夜になってから、ギリギリの「サバイバル・マッチ」、ヴォルフスブルク対ザンクト・パウリ戦を観はじめるという体たらくでした。
試合の全体的な流れだけれど、流石(さすが)にサバイバルマッチ、グラウンドからは、ものすごい「意志のぶつかり合い」ってなダイナミズムが、ガンガン放散されていた。
最初は、ホームのヴォルフスブルクが主導権を握り、時間を追うごとに(ヴォルフスブルクが先制ゴールを奪ったこともあって・・)ザンクト・パウリが押し返していくといった展開。後半は、同点ゴールが決まるまではザンクト・パウリが押し込み、その後は(韓国若手のホープ、ク・ヂャチョルが交替出場してから!?)ホームのヴォルフスブルクが押し返していった。
でも、そんな、ヴォルフスブルクがイニシアチブを握る流れの逆を取ったザンクト・パウリが、ショートカウンターから勝ち越しゴールを奪ってしまうのですよ。ドラマの予感。
そこからは、まさに死闘だったね。ビックリしたのは、ザンクト・パウリが、決して「守りに入らなかった」ということ。だから、死闘ドラマが極限まで盛り上がっていった!? まあ・・そういうことです。ヴォルフスブルクの歓喜の同点ゴールはコーナーキックから(長谷部に代わったポーラックの一発!)だったけれど・・。それにしてもヴォルフスブルクは、本当によく同点にした。勝負の流れは、もう完全にザンクト・パウリのモノだったのに・・。フムフム・・
ヴォルフスブルクだけれど、どうも良いカタチで(要は、相手が前へ押し上げていこうとしている状況で、なるべく高い位置で・・)ボールを奪いかえすような効果的ディフェンスが展開できていないと感じる。
たしかに全体的な守備意識は、鬼軍曹フェリックス・マガートが帰ってきてから高まったとは思う。要は、戦う意志がアップしたということだけれど(フェリックス・マガートによる優れた心理マネージメント!?)、でもそれが、うまくチャンスに結びついていかない。
要は、フェリックス・マガートが率いてリーグ優勝した当時と比べ、明らかに(ジェコに代表される・・)前戦ブロックの個の危険度がダウンしたということだろうね。だから、当時のような、七人の守備ブロックでしっかりと守り、前戦のスーパーな三人へ「良いカタチ」でボールを供給し、彼らに個の勝負を仕掛けさせる・・というチーム戦術が、うまく機能しない。
この試合でのジョズエは、センターハーフ&後方ゲームメイカー(中心的なリンクマン)という中盤の底における絶対的存在・・ってなイメージではなく、長谷部誠、デヤガーと「中盤守備のトリオ」を組む・・といった感じでプレーしていた。
だから長谷部誠も、前回よりは「基本ポジション」を下げ気味にプレーしていた。そのこともあって、組み立ての初期段階で(ジョズエだけではなく・・)長谷部誠のところにもボールが回されてくる頻度が高く、彼がゲームメイクするというシーンも多かった。
ただ、そんなチーム戦術的なイメージということで、前戦に人数を掛け、組織コンビネーションで崩していく・・というチャンスメイクシーンは減少しているし、必然的にロングボールも多くなっている。まあ・・前後分断サッカー・・
これでは、相手のザンクト・パウリ守備ブロックにしても、前の三人に対するマークを厳しくするなど(その三人にしても、多くのシーンを自分一人で打開して行かざるを得なくなる!)、守りやすいことこの上ないだろうね。
そして、そのこともあって(!?)長谷部誠が秘める「究極の組織プレイヤー」としてのクオリティーが良いカタチで活きてこないのですよ。もちろん長谷部誠は、フェリックス・マガートが推し進めるチーム戦術でも『実効ある機能性』は魅せているけれど、それでも、汗かきプレーが必要以上に前面に押し出され過ぎる・・といった印象をぬぐい去ることが出来なかったのです。
長谷部誠は、攻守にわたる(積極的に仕事を探しつづける!)忠実な汗かきプレーをつづけるなかでも、たまには攻撃で、相手にとっては「想定外」の決定的な真骨頂プレーを魅せてくれるものなんだけれど・・。
相手ディフェンスの視野から「消え」、最後の瞬間、スッと(四人目の影武者として!?)危険ゾーンに出現して決定的な仕事をしてしまったり、中盤のスペースをつなぐ爆発ドリブルで相手守備ブロックのバランスを崩してしまったり。そう、前半ロスタイムのカウンターシーンでの爆発ドリブルのように・・ネ。
まあ・・いまチームが置かれている状況を考えれば、「戦術サッカー」へ傾倒していくのも仕方ないとは思うけれど、逆にそうであるからこそ長谷部誠には、「規制のなかの自由」をとことん追求して(自己主張して)欲しいと思う筆者なのです。
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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