トピックス


2011_UCL_いや、ビックリしたネ〜・・それと内田篤人・・(インテルvsシャルケ04、 2-5)・・(2011年4月6日、水曜日)

所用が重なり、コラムアップが遅れてしまいました。ご容赦・・

 ということで、欧州チャンピオンズリーグの注目カード、インテルvsシャルケ04。

 それにしても、シャルケの勝ち方は、ちょっとセンセーショナルだったよね。個の能力の単純総計では、明らかにインテルに軍配が上がる。でもシャルケは、そのマイナス分を、新任の戦略家、ラルフ・ラングニックがリードする巧みなチーム戦術(≒攻守にわたる組織的なイメージシンクロプレー)で補った!? さて〜〜・・。

 とはいってもサ、「あの」インテルに、それもジュゼッペ・メアッツァでの「2-5」の勝利だからね。それも、たしかにシャルケも粘り強い(効果的な仕掛けも繰り出していくような)サッカーを展開したけれど、決定的チャンスの量と質では、インテルが凌駕していたわけだからネ。まあ・・出来すぎ・・!?

 ということで本文ですが、今回は、前言撤回コラム・・っちゅうことになるのかな〜〜!? 内田篤人・・。とても大きく、そして深く(心理・精神的に!?)ブレイクしはじめていると感じる。この件については、以前の「コラム」も参照して下さい。

 良かったですよ〜、内田篤人。以前は(より明確に!?)感じられた、石橋を叩いても渡らない・・っちゅう、過度に「注意深い」雰囲気が徐々に薄まり、逆に、攻守にわたる勝負所でのプレーに、フッ切れた雰囲気が漂いはじめている!? フム〜〜・・

 守備・・。立ち上がりの時間帯、インテルの天才ドリブラー、ミリートのフェイントに振り回され、決定的なラストパスを通されてしまうといった、恥ずかしいジリ貧シーンがあった。彼自身も、ちょっとショックだったろうね。でもその後は、その「失敗という大いなる刺激」によって、守備が、より積極的になっていったと感じた。

 要は、相手の仕掛けアクションに反応して付いていくだけ・・っちゅう受け身のプレー態度(後ろ向きの心理状態)じゃ、何も生み出すことは出来ないということです。

 守備の醍醐味は、何といっても、相手のパスイメージを「積極的に読んで」仕掛けるインターセプトや、相手を(意図的に!)追い込んでブチかます爆発アタックなどに代表される主体的なボール奪取勝負にあるわけだからね。

 もちろん、そんな主体的な読みディフェンス(リスクチャレンジ!)という視点では、内田篤人もまだまだ課題を抱えてはいる。でも、世界トップレベルで揉(も)まれるなかで、そんな「魅力的な主体ディフェンス」に対する姿勢が、どんどん前向きになっていると感じるのです。

 そう・・意志さえあれば、おのずと道が見えてくる・・環境こそが人を育てる・・のです。

 あっと・・内田篤人の攻撃参加。

 以前は、クロス(ラストパスの供給)にしてもシュートにしても、どうも中途半端っちゅう雰囲気が拭(ぬぐ)えなかった。だからシュートにしてもラストパス(クロス)にしても、決定的な「心理エネルギー」を伴っていなかった(要は・・失敗するシーンが大勢を占めていた・・っちゅうことです)。

 それが、このところ、守備と同様に強い意志が感じられるようになってきていると感じる。要は、「絶対にゴールにつなげてやるっ!!」というスピリチュアル・エネルギーの放散・・強烈な意志の爆発・・が感じられるようになった・・というわけです。

 以前だったら、決定的なカタチで内田篤人がシュートに入っても、それが「入るっ!!」って感じられなかった。そして実際に、シュートされたボールは、大きくゴールを外れていったりした。

 とても微妙なんだけれど、わたしは、自分自身の現場での体感の積み重ねをベースに、選手の「確信レベル」が見えるようになった・・と感じているのですよ。思い上がりかもしれないし、その「感覚」は、とても言葉で表現できるモノじゃありません。まあ・・敢えて言えば・・選手のシュートアクションに入るときの微妙な動作の変化とか、そのときの選手の表情とか・・そういった類(たぐい)のモノです。まあ・・いいや・・

 そんな感覚的な評価だけれど、内田篤人の攻撃参加に、以前のような「弱く不確かな雰囲気」が薄くなっていると感じるようになったわけです。このことは、先日の「日本代表対Jリーグ選抜」でも感じましたね。そのコラムは「こちら」

 まあ、この試合については、こんなところですかね。あっ、そうそう・・敢えて、もう一つのポイントをピックアップしましょうか。それは、クロスボール勝負。

 まあ、内田篤人とラウールの「あうんの呼吸」とも言い換えられますかね。要は、内田篤人が、ラウールが繰り出す「最後の瞬間の動き」を明確にイメージしてラスト・クロスを送り込んでいる・・というポイントです。

 ・・前半立ち上がりのシャルケのチャンスシーン・・オーバーラップしてパスを受け、右サイドで、ある程度フリーでボールをキープする内田篤人・・そのとき、相手ゴール前では、ラウールが、ちょっとファーサイド気味にポジションを取っている・・そのラウールを(イメージ的に)マークしているのは、ルーマニアの天才ディフェンダー、クリスティアン・キヴー・・

 ・・キヴーが、一瞬ラウールのポジションを確認し、すぐに相手ボールホルダー(内田篤人)に目を移す・・次の瞬間、内田篤人の右足から、低めで勢いのあるクロスボールが送り込まれる・・そのボールは、真っ直ぐキヴーへ向かって飛んでいく・・一瞬、動きが止まるキヴー・・でも、ボールがキヴーに到達する直前、キヴーの眼前を「白い影」が横切っていく・・この試合でのシャルケのユニフォームは白・・

 ・・それは、ラウールだった・・最後の瞬間、キヴーの「眼前スペース」へ飛び出したのだ〜・・もちろん内田篤人との、明確なイメージシンクロ最終勝負の賜物(たまもの)・・最後の瞬間、ボールと、ダイビングするラウールの頭がピタリと合った・・ラウールの、ダイビング・ヘディングシュート!!・・誰もが、シャルケのゴールを疑わなかった・・でも、ヘディングされたボールは、無情にも、僅かにインテルゴールの右ポストを外れていった・・フ〜〜・・

 これって、もちろん常道(クロス最終勝負の常套手段)。でも、それを成功させるには、やっぱりイメージシンクロのトレーニングを積み重ねることが必要なんだよ。たぶん、内田篤人は、ラウールから何度も要求されたに違いないね。だから内田篤人は、ラウールの「直前の動作や表情」から、クロスを送り込むタイミングを測っていた!? まあ・・そういうことでしょ。

 あっと・・最後の15分間グラウンドに登場し、例によっての「強烈な意志」を感じさせた長友佑都だけれど、まあ今日はいいか・・

 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

==============

 またまた、出版の告知です。

 今回は、後藤健生さんとW杯を語りあった対談本。現地と東京をつなぎ、何度も「生の声」を送りつづけました。

 悦びにあふれた生の声を、ご堪能ください。発売翌日には重版が決まったとか。それも、一万部の増刷。その重版分も、すでに店頭に(ネット書店に)並んだそうな。その本に関する告知記事は「こちら」です。

============

 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓しました。

 4月11日に販売が開始されたのですが、その二日後には増刷が決定し、WMの開幕に合わせるかのように「四刷」まできた次第。フムフム・・。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。岡田ジャパン(また、WM=Welt Meisterschaft)の楽しみ方という視点でも面白く読めるはずです・・たぶん。

 出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]