トピックス
- 2012_J2・・興味深い開幕マッチだった・・また小林祐希についても・・(東京ヴェルディvs松本山雅、 2-0)・・(2012年3月4日、日曜日)
- 「19歳の彼を、チームワークを司(つかさど)るキャプテンにすることには大きな意義があると思っている・・彼ほどの才能は、そう頻繁には出てこない・・そんな、日本サッカーの将来を担うべき彼をキャプテンにすることで(強い意識と意志、そして責任感が問われるタスクを与えれば!?)、秘めたる才能のブレイクと発展が、よりスピードアップするに違いない・・」
東京ヴェルディの川勝良一監督が言う「彼」とは、誰もがその才能を認める東京ヴェルディの10番、小林祐希。19歳。聞くところによれば、「あの」牛若丸=中村憲剛=も、その高いポテンシャルを認めていたとか。そして、私も・・
ところで、この試合(J2の開幕戦、東京ヴェルディvs松本山雅)。そのゲーム展開は、とても興味深いものだった。
前半は、反町康治監督率いる松本山雅が、素晴らしく効果的な「ゲーム戦術」を徹底することで、実質的な勝負の流れを掴んでいた。
ただ後半は、ヴェルディの「ストロング・ハンド」川勝良一監督のゲキが効いたのだろう、彼らが標榜するタッチ数の少ない(スペースを自在にマネージする!?)組織サッカーが、その実効性を増幅させていった。
川勝良一監督は、よく、スペースに関する想像力と創造力というポイントを口にする。要は、自分たちでスペースを作り出し、(それが空くことを予測して)そこを攻略していくという組織サッカーイメージのことでしょ。良いね・・
そんなヴェルディが、後半、ペースをアップさせていく。そして、一点、二点とゴールを積み重ね、その後の松本山雅の反撃をしのいで開幕戦ヴィクトリーを勝ち取った。
前半はゲーム戦術サッカーに徹することで勝負の流れを引き寄せた松本山雅だったけれど(内容的にも、とても立派なサッカーだったぜ!)、後半になってゴールを割られ、「行くしか」なくなった。そんなゲーム展開になってからは、やはり、ヴェルディとの実力の差を体感させられた。
個のチカラの「単純総計」プラスαのチーム総合力(実力)で・・
とはいっても、監督に就任してからのホントに短い期間で、松本山雅のサッカーを「ここまで」引き上げたのだから、反町康治のプロコーチとしてのウデには拍手せざるを得ない。
あっと・・小林祐希がテーマだった。
昨シーズンは、ヴェルディの34ゲームに出場し、そこで様々な意味合いの「開花」を体感したと思う。とはいっても、まだまだ課題も抱えていた。
・・現代サッカーでは、才能に恵まれているからこそ、攻守にわたる全力の汗かき組織プレーにも精進しなければならない・・それこそが、世界トップサッカーという究極ステージで活躍できるための唯一の道なのだ・・
小野伸二、本田圭佑、家長昭博、そして最近では宇佐美貴史などなどなどなど・・、持てる才能を、本当の意味で開花させられていない日本人選手には、枚挙にいとまがない。
わたしは、小林祐希についても、そんな「何かが足りない」というイメージをもっていた。ただ、この試合では、ちょっとビックリさせられた。かなり急激なイメチェン・・
例えば、攻め上がるヴェルディがボールを奪われ、松本山雅がカウンターを仕掛けていくという状況。
そこで、疾風のごとく相手(ボール)に対するフルパワー&スピードの爆発チェイスを魅せたのは、小林祐希。それも、偶発的なモノではなく、まさに「忠実」を絵に描いたようなチェイス&チェックを繰り返すのですよ。
たしかに小林祐希の基本タスクはセンターハーフ&チャンスメイカー(!?)だから、攻守にわたって(さまざまな意味を内包する!?)バランスを確実にマネージしなければならない。だから、状況に対応したチェイス&チェックは、当然といえば当然ではあるけれど、その勢いと頻度(忠実性)が並じゃないんだよ。だから、とても、とても目立っていた。
そう、強烈な「意志の爆発」・・
また守備に入って、相手とボールを奪い合う競り合いシーンにしても、以前のような「淡泊」なモノじゃなく、そこには、「絶対にオレがボールを奪いかえしてやる!!」という強烈な意志の爆発が感じられたしね。
まあ、小林祐希のことだから、勇気と責任感にあふれるドリブル勝負や(タメからの)絶妙タイミングのスルーバスなど、彼の才能が光り輝く(ボール絡みの)攻撃プレーについては描写する必要なんてないよね。
だからここでは、3人目、4人目としてのフリーランニング(ボールがないところでのパスレシーブの動きなど)や、シンプルなリズムのパス&ムーブを積み重ねていく「意志のプレー」を強調しておくことにしよう。ホント、とても素晴らしかったですよ。
これまた業界人の方からの情報だけれど、小林祐希自身、自分が(心理・精神的に!?)ブレイクしていることを、こんな言葉で(自虐的に!?)表現しているのだそうな。
「わたし・・以前は、オレ様プレーばかりが目立ちまくっていたんですよ・・」
そんな小林祐希しかり、なでしこの永里優季もしかり。
このところ、天賦の才の「本物のブレイクプロセス」を体感できていることで、とてもハッピーな筆者なのでした〜〜・・とにかく、攻守にわたり、考えながら走って汗をかきゃ、良いサッカーになるんだよ(それに才能がともなえば、スーパーサッカーになる!?)・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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