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2014_ACL・・「勝負の流れ」という視点・・そして、牛若丸とジェシに乾杯!!・・(フロンターレvs蔚山現代、3-1)・・(2014年4月22日、火曜日)

そりゃ、(全体的な!)内容と結果がシンクロした、ホントに素晴らしい勝負マッチだったと思うし、いまの「J」では、まさに最高のサッカーを魅せつづけているフロンターレが、ACLの決勝トーナメントに進出したことも、本当に嬉しい。

特に前半は、フロンターレが、持ち味の「スーパー組織サッカー」を存分に魅せつけ、繰り返しチャンスを作りだしただけじゃなく、二つも素晴らしいゴールを決めたしネ。

また、後半にしても、たしかに、フッ切れた仕掛けをブチかましてくる蔚山に、押し込まれる時間帯がつづいたけれど、それでも、ウラのスペースを攻略されるような決定的ピンチは、ほとんど作らせなかったからね。

まあ、「最近の!」フロンターレのスーパーサッカーについては、「J」のコラムや前回のACLコラム、私のHP新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」も参照してください。

ということで、ここでは、一つのテーマに絞り込んでディスカッションしたいと思うのですよ。

それは、勝負の流れ・・。

ゲームのなかに隠されていた、「勝負の流れ」を変えてしまったかもしれない「ピンチのシーン」を覚えていますか?

例えば前半。

レナトがブチかました、鬼神のドリブル突破からの絶対的なチャンスが、1本、2本とつづいた。でも決められない。それは、誰もが自分の目を疑うようなシーンだった。

ツキに見放されている!? そんなシーンを見せつけられたら、誰もが、不安を感じはじめるのも道理でしょ。

それだけじゃなく、フロンターレが、そんな絶対的チャンスを棒に振っていたのに対して、逆に蔚山が、見事な組織サッカーから、1本、2本と、決定的なカタチを作っちゃうんだよ。

私は、肝を冷やしていた。もし「アレ」を決められていたら・・。そりゃ、「勝負の流れ」に対する不安が倍増するのも道理だよね。

でも、最後の最後のところで、フロンターレディフェンダーが、身体を張って防いだから事なきを得た。その粘りのディフェンスは、ホントに素晴らしかった。

そして逆にフロンターレは、そんな「冷や汗」のゲーム展開をモノともせずに、まさに「クール」に、牛若丸と森谷賢太郎のスーパーなタテパスから、先制ゴール、追加ゴールと、立てつづけに、蔚山ゴールを攻略してしまうんだ。

私は、そんなシーンを観ながら、「ホントに、フロンターレ選手たちの自信は、際限なく深まっている・・」なんて感じていたんだ。

何せ、誰もが「そこはかとない不安」を感じはじめていた時間帯だったわけだからね。

そして後半。

蔚山が、全てを投げ打って攻めに転じたことは言うまでもない。その勢いは、まさに「怒濤のごとし」だった。

とはいっても、そんな相手の攻勢にも、フロンターレ守備ブロックは動じることなく、冷静に対処していたんだよ。

でも・・

そう、フロンターレが「2-1」というギリギリのリードを保っている展開のなかで、唐突に、蔚山が絶対的なチャンスを作りだしてしまうんだ。それは、ホントに見事なコンビネーションだった。

ポン、ポン、ポ〜ンという、軽快なダイレクトパスコンビネーションの最後に、後方から攻め上がってきた蔚山のプレイヤーが、まったくフリーで、ダイレクトシュートを打ったんだよ。

記者席の誰もが息を呑んだ。そこにいた、フロンターレ選手たちも、「ウワ〜〜ッ!!!」なんて悲鳴を上げていた。私はといえば、その瞬間、身体を硬くし、拳を握りしめていた。

でも、最後の瞬間、右サイドバックの田中裕介が、捨て身のスライディングをブチかましたんだ。そして、シュートされたボールを弾き出した。

見事な、本当に見事なカバーリングだった。サンキュー、ユウスケ〜ッ!!

あっと・・、ここでのテーマは「勝負の流れ」だった。

確かに「タラレバ」かもしれないけれど、とにかく、前半でも、後半でも、「もし、あそこでゴールを奪われていたら・・」っちゅう冷や汗のシーンに注目したかったんだよ。

だから、風間八宏に聞いた。

・・たしかに勝ったけれど、ゲームのなかでは、いくつも、勝負のベクトルを逆流させてしまうような絶対的ピンチがあった・・そんな「勝負の流れ」という視点で、このゲームを総括してくれませんか?・・

そんな質問に対し、風間八宏は、例によって、真摯に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。曰く・・

・・たしかに、おっしゃるように、ピンチはありました・・ただ、選手たちは、それを、しっかりと御し切れるまでに成長していると思うんです・・勝負勘や「したたかさ」にも長けてきているということですかね・・多分それは、自信の深まりとも表現できるんでしょうね・・

・・彼らのなかで、自分たちが主体になってコントロールできる「スタイル」や「イメージ」が確立しはじめているとも言えそうだけれど・・

・・彼らは、ここは危ない状況になりそうだな・・とか・・ここは、ダイジョウブ、防ぎ切れる・・なんていう感覚を、正確に掴めるようになっていると思うんですよ・・

それに対して、すかさず、「それは、勝者のメンタリティー??」と突っ込んだ。

・・まあ、「ここは守り切れるゾ!」なんていう感覚も含めて、勝ち切るための「勝負のアヤ」とか「勝負のコツ」といったモノを掴みつつあるっちゅうことなんでしょうね・・

・・勝者のメンタリティーは、やりつづけることで深まっていくモノなんですよ(そう、継続こそチカラなり・・なんだよ!)・・

いいね、風間八宏。

最後に・・

まさに「スーパー」な、ゲームメイカー&チャンスメイカー&勝負の流れのコンダクターとして抜群の光を放ちつづけた牛若丸と、これまた「スーパー」な守備の重鎮、ジェシに、乾杯!!!

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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