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- 2018_アジア大会_女子決勝・・この優勝は、様々なポジティブ効果(価値)を生み出すはず・・そう2011年ドイツ女子W杯のようにネ・・(なでしこvs中国、1-0)・・(2018年8月31日、金曜日)
- スゴイッ!!
まさに、ドラマチックそのものといった優勝じゃないか。
私は、そんな結末を体感しながら、すぐに、2011年ドイツ女子W杯決勝に思いを馳せていた。
その決勝については、「このコラム」や「あのコラム」など、2011年のコラム倉庫をご覧あれ。
そのアメリカ戦もまた、この決勝同様に、まさに粘勝と呼べるギリギリの闘いだったんだよ。
もちろん・・
高倉麻子監督も言っていたように、来年のフランスW杯へ向けた課題は多いよね。
でも・・
そう、わたしは、この優勝がもたらすに違いない、様々な物理的&心理・精神的ポジティブ効果を知っているつもりなんだ。
この優勝・・
たしかに、高倉麻子監督がイメージするような(!?)美しい勝利じゃなかった。
でも、そこには、時間の経過とともに「増幅」されていく「何か」が、内包されているんだ。
さて・・
ということで、ゲームを簡単にレビューしましょうか・・
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前半の立ち上がり・・
そのゲーム展開を観ながら、こんなコトを思っていた・・
・・すごいね〜、中国・・このハイテンポの勢いって、いつまでつづけられるんだろう・・
そう・・
監督が、元ガンバ大阪で活躍したこともある賈秀全(か・しゅうぜん)に代わったことで、中国女子代表のサッカーが、まったく別物になってしまったんだよ。
あっと・・
(今年4月に!)女子アジアカップ準決勝で対戦した当時の中国女子代表と比べて・・ネ。
そのコラムは「こちら」。
とにかく・・
この決勝で対戦した中国女子代表がブチかました、攻守ハードワークとリスクチャレンジあふれる積極的な攻撃サッカーは、インプレッシブの極みだったんだ。
まさに、賞賛に値する。
でも・・
そう、そんな攻撃サッカーをつづけるためのエネルギーは、徐々に「減退」していくでしょ。
そして案の定・・
テレビ中継の解説を担当していた、元日本代表GK小島伸幸さんもコメントしていたように・・
中国女子のレベルを超えたプレッシングの勢いが、徐々に減退フェイズに入っていくにしたがい、「なでしこ」の前への勢いも加速していったんだ。
もちろん、そんな展開になった背景には、「なでしこ」が、中国女子代表の強烈なプレッシングを、うまく「いなせる」ようになったこと「も」あるよね。
そう・・
相手の「前への勢い」を、うまく「逆活用」して置き去りにしてしまう、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション。
柔道の三船久蔵10段が、7段の時にあみ出した隅落とし(すみおとし=空気投げ)・・のようにね。
あっと・・蛇足・・
その、少し攻め上がれるようになった・・という現象だけれど・・
全体的なイニシアチブは、まだまだ中国に握られていたんだよ。
とにかく、中国女子代表のスピードとパワーは、完全に「なでしこ」を凌駕していたんだ。
そして、後半・・
たしかに立ち上がりは、前半同様に、中国に押し込まれた。
でも・・
そう、そのダイナミズムは、前半ほどは長つづきせず、10分も経つと、前半と同様に、日本も、しっかりとボールを奪い返して攻め上がれるようになっていったんだ。
ここで、ハタと思い当たった・・
もしかしたら、それが重要なポイントかもしれない・・ってね・・
そう、ゲームの流れの変容・・
中国のプレッシングの勢いが落ち着いたことで、中盤ゾーンに、より多くのスペースが出現するようになったんだ。
もちろん、日本も攻め上がれるようになっていく。
そして、そのことで、ボールを奪い返す(失う)状況に応じて、両チームに、カウンター(気味)のチャンスが巡ってくるようになっていったんだ。
中国のプレッシングが厳しいときは、もちろん「なでしこ」の守備ブロックも、カチッと決まる。
だから、そう簡単には、スペースを攻略させない。
でも、中盤スペースが空き気味になり、「攻撃の可能性」が感じられるようになった「なでしこ」も、しっかりと仕掛けに人数を掛けられるようになった。
そして・・
そう、たしかに「なでしこ」も攻め上がれるようになったけれど、それ以上に、中国に、決定的な(カウンター気味の!)ピンチの流れを創られるようになったんだ。
何度、フリーズさせられたことか。
そんなピンチの連続だったからこそ、2011年ドイツ女子W杯決勝のことが、すぐに脳裏に浮かんだっちゅうわけさ。
フムフム・・
これで「高倉なでしこ」は、今年に入ってから、女子アジアカップとアジア大会というビックタイトルを(両大会ともに苦しみながらも!!)奪い取った。
素晴らしい成果じゃないか。
そして、その成果は、「次の進化&深化」の土台になる(成果を土台にする!)・・
2011W杯で世界チャンピオンに輝いた「なでしこ」もそうだったけれど、その後、彼女たちのパフォーマンスは大きく高まったんだ。
そう、アメリカと当たっても、ドイツやフランス、ブラジルと当たっても、プレーの内容が、まったく別物になったと感じたんだよ。
そう、自信と確信レベルの高揚。
それもまた、不確実な要素が満載のサッカーが、究極の「意志のボールゲーム」であることの明確な証左だと思うわけさ。
その視点で「も」、「高倉なでしこ」の今後の進化&深化に、気合いを入れて期待しましょう。
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それにしても、スマートで強力なディフェンスや、強烈なプレッシングサッカーなど、個の能力にも長けた中国女子代表を率いる賈秀全(か・しゅうぜん)は、素晴らしい仕事をしている。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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