トピックス
- 2019_アジアカップ・・雑感(その1)・・(2019年1月25日、金曜日)
- 強いネ〜〜、イラン。
彼らの「ポゼッションの内実」は、まさに、「ゲームの流れのイニシアチブを握る・・」という意味合いということだね。
そう、サウジとは、その内実の次元がまったく違うんだよ。
そこでブチかまされる、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション。
その目標イメージは、あくまでも「タテのスペース攻略」ということさ。
だから、パスにしろ、勝負ドリブルにしろ、とにかく、その勢いに、強烈な「闘う意志」が内包されていると感じる。
それは・・
選手たちが、その勝負イメージを完璧にシェアしているからに他ならない。
そして彼らには、その、連動し躍動する「組織サッカー」を、着実に「結果」に反映させられるほどの個の勝負能力「も」備わっているんだ。
そう、組織と個のバランスという視点で、今大会参加チームのなかでも、一歩抜きんじた存在感を魅せつづけているということさ。
組織サッカーで、ある程度フリーなボールホルダーを創りだし、「そこ」が、強烈な勇気と意志をもって個の勝負を仕掛けていく。
目指すは、直接シュートか、ラストパス(クロス)。
周りも、そんな個の勝負プロセスに入ったら、そのドリブルを邪魔しないように、しっかりと、(そのドリブル勝負によって!?)別のゾーンに出来たスペースへ走り込むんだ。
一度、こんなシーンを目撃したっけ。
ある選手が、(シュートをイメージした!)ドリブル勝負に失敗した後、遠いゾーンのスペースへ走り込んだ味方に対し、「ゴメン・ゴメン・・」ってなサインを送っていたんだよ。
そんな「小さなコト」もまた、チーム内の共有イメージと相互信頼を強化する心理ベースになる。
ホント、カルロス・ケイロス監督は、素晴らしい仕事をしている。
たしかにイランは以前から強かったけれど、このレベルの、「組織と個のバランスサッカー」は、明らかにカルロス・ケイロスの手腕に拠るところが大きいわけだからね。
とにかく、いまのイラン代表が内包する、相互のイメージシェアと信頼に根ざす、ものすごく実効レベルの高い「仕掛けの選択肢」は、参加チームのなかで、最高レベルだ。
そう、森保ジャパンにとって、相手にとって不足なし・・
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ところで、前出のサウジアラビア。
ポゼッション「ばかり」を意識し過ぎるサウジ・・!?
彼らのサッカーを観ていると、「ボールを保持すること自体」が、「攻撃の目的」になっているかもしれない・・ってなことまで感じさせられてしまう。
サッカー攻撃の目的は、シュートを打つこと。
その目的を達成するための「当面の目標イメージ」が、(決定的)スペースの攻略なんだ。
そのためにこそ、人とボールを動かすことで相手ディフェンスを引きつけ(スペースを創りだし)、そこを、パスとドリブルを駆使して突いていくんだよ。
そんな基本メカニズムに対する発想(仕掛けのプロセスイメージ!?)が、どうも希薄だと感じさせられたんだ。
だから、中国対イラン戦を観ながら、中東の雄、イランとサウジのサッカーのレベル差の内実について考えを巡らせざるを得なくなったっちゅうわけさ。
とにかく・・
つい先日、AFCのU19選手権で優勝した、「あの」サウジ若武者チームが展開したスーパーな組織サッカーは、いったい何だったのだろうか・・って感じていた筆者なのであ〜る。
へへっ・・
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そして、森保ジャパン。
昨日のベトナム戦だけれど・・
勝負師の韓国人プロコーチ、パク・ハンソさんによる「勝負ゲーム戦術」は、勝負イメージの共有という意味で、チームのなかに、しっかりと浸透していた。
その視点でも、パク・ハンソさんの、プロコーチとしての(心理・戦術マネージャーとしての)ウデに拍手をおくっていた。
まあ、今さらながら・・ではあるけれど・・
パク・ハンソさんが狙っていたカウンターサッカー・・
その、もっとも大事な勝負イメージが、森保ジャパンが「タテへ仕掛けてきた瞬間にあった」ことは誰もがアグリーするでしょ。
そこで、もっとも狙われたのが、北川航也。
前半でも二度ほど、タテパスを受けた彼のミスから、必殺カウンターを喰らった。
そこでは、何人ものベトナム選手が、そのタテパスに対応して「集中」して北川航也のミスを誘い、カウンターチャンスに結びつけていた。
そう、北川航也が(自信なさげに!?)タテパスを受けにいったのと同時に(その前のタイミングから!?)、そこから離れたところにいたベトナム選手が、タテへ抜け出していくアクションをイメージしていたからね。
そのカウンターピンチは、森保ジャパンにとって、ものすごく大きな「心理的負担」になった。
そして、森保ジャパンのタテへ仕掛けていく「勢い」が、徐々に殺がれていったっちゅうわけだ。
そんな、「心理的なせめぎ合い」もまた、勝負プロセスの「キモ」となるファクターなんだよ。
でも・・
そう、昨夜のコラムで書いたように、大迫勇也が登場してから、森保ジャパンのサッカーが、大いなる輝きを取り戻したっちゅうわけだ。
北川航也は、とても能力の高い選手だよね。
でも、どうも、心理・精神的な「弱さ」が顔に表れてしまうタイプらしい。
あれでは、相手に甘く見られ、「そこ」を狙い目にされてしまうのも道理。
彼には、アジアカップでの自身のプレーを(イヤだろうけれど・・)何度も見直すことで、これからの進化・深化の糧(効果的な学習機会)にして欲しいと心から願っている筆者なのであ〜る。
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さてイラン戦。
彼らは、ゲーム戦術サッカーなどではなく、あくまでも「自分たちのサッカー」を、積極的にブチかましてくるでしょ。
だからこそ、森保ジャパンにとって、与(くみ)し易いコンテンダーだとも言える。
森保ジャパンが魅せつづける、攻守にわたる質実剛健サッカーに期待しましょう。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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