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2011_なでしこ_・・純粋培養のプロ集団がブチかました極限の闘う意志・・なでしこジャパンにとっては良い学習機会だった・・そして、オメデト〜・・(日本代表vs北朝鮮代表、 1-1)・・(2011年9月8日、木曜日)

フ〜ッ!・・ともあれ、引き分け「には持ち込めた」・・後は待つだけか・・

 試合直後の(ちょっと冷静になってからの!?)正直な感想です。

 とてもラッキーな(なでしこジャパンの)先制ゴールだったけれど、それを守り切れるはずだと思っていたから、北朝鮮にロスタイムの同点ゴールをブチ込まれたときは、ちょっとガクッときた。それでも、冷静に考えれば、全体的なゲームの内容からして、引き分け「には持ち込めた」というのがフェアな評価表現だとも思っていた筆者だったのです。

 ところで・・。

 この試合を見終わった後、直ぐに、2008年に中国の重慶で開催された「東アジア選手権」のコラムを見直していました(そのコラムは「こちら」)。北朝鮮との勝負マッチ。当時の北朝鮮は圧倒的に強かった。それでもなでしこジャパンは、ギリギリの粘り勝ちを収め、そして最後には、ホスト(ホステス!?)チームの中国を圧倒して東アジアの頂点に立った。

 そのコラムを読み返しながら、「・・当時のなでしこジャパンは、本当に圧倒的にゲームを支配されていたっけ・・そして、守備ブロックを崩された絶対的ピンチを何度も迎えたよな〜・・それでも最後は(宮間あやの同点フリーキックと、ロスタイムでの澤穂希の決勝ゴールで!)粘り勝ちを収めた・・そのときのピンチの内容からすれば、この試合は、まったく別物だよな〜・・」、なんてことを考えていた。

 そう、たしかに、このゲームも北朝鮮に支配されたし、ピンチもあった。それでも、当時とは違い、守備ブロックが「崩され切られた」というシーンは、「あの」同点ゴールシーン以外にはなかったし、後半には、ゲームの(戦術的な意味での「流れ」の)イニシアチブを握るという時間帯も演出した。

 とにかく前半のなでしこジャパンは、北朝鮮がブチかましてくる、圧倒的な運動量に支えられたプレッシング(積極守備)サッカーによって、まさに「心理的な悪魔のサイクル」に陥れられた。

 ・・ボールを奪いかえしても、すぐにチェイス&チェックでプレッシャーを掛けられてしまうだけじゃなく、少しでもボールの動きが停滞した次の瞬間には、二人、三人と、北朝鮮が「プレスの輪」を狭めてくる・・

 ・・普通だったら、そんな相手のプレッシングにも、なでしこジャパンの「確信」は揺るがず、余裕をもって縦横無尽にボールを動かしづけられたに違いない・・でも、この日の北朝鮮チームは違った・・彼女たちは、韓国と同様に(!?)、ボールホルダーへのプレッシャーだけじゃなく、その「周り」で動こうとする日本の(次の)パスレシーバーをも、圧倒的な「勢い」で忠実にマークしつづけた・・

 ・・それでも、「もし」なでしこジャパンが、タテパスを通し、「そこ」でボールをキープして次へ展開するという安定した「人とボールの動き」を展開できていれば、北朝鮮だって、そんなハードなアップテンポのプレッシングサッカーをつづけられなかったに違いない・・

 ・・要は、サッカーは「ホンモノの心理ゲーム」ということなのだけれど・・なでしこジャパンは、何度もタテパスを潰されつづけたことで(前線選手のパスレシーブが淡泊・・競り合いの粘りパワーという視点じゃ、北朝鮮の足元にも及ばなかった!)、明らかに、失敗が怖くなってタテパスを逡巡しはじめ、横パスに「逃げる」傾向が強くなった・・だからこそ、北朝鮮のプレッシングの勢いが、どんどんと増幅し、なでしこジャパンは、忠実な組織プレッシングに「押し込まれて」いったのだ・・

 ・・また、ボールを奪いかえしてから北朝鮮が魅せた、しっかりとした技術に裏打ちされた組織パスサッカーにも驚かされた・・もちろん、プレッシング守備で、あれだけ動き回っていたからこそ、自分たちがボールを持ったとき、その周りでは、幾重もの「数的に優位な状況」が生まれるのも道理だった・・だからこそ、余裕をもってボールを動かせた・・

 ・・とはいっても、最終勝負(シュート)へつながる組織コンビネーションでは、やはり日本に一日以上の長がある・・だから、北朝鮮の単純な仕掛けパスは、なでしこジャパンの守備ブロックに読み切られていた・・攻撃と守備の「レベル」は常にリンクしている・・

 ・・そこでなでしこジャパンが展開した組織ディフェンスで、抜群の存在感を魅せつづけていたのは、言わずと知れた、澤穂希・・とにかく、ボールがないところでの動きの量と質が違った・・そんな澤穂希がブチかましつづける「闘う意志」という刺激によって、どれほどチームメイトが勇気づけられたことか・・

 ・・そして(後半になって)徐々になでしこジャパンも、自分たちのペースで(自信をもって)組織コンビネーションを繰り出していけるようになっていった・・

 ・・後半になってからのゲームの流れの変容・・そのバックボーンには、もちろん両面ある・・北朝鮮の運動量が徐々にダウンし、プレッシングの勢いにも陰りが見えはじめたこと・・そして、澤穂希をリーダーに、なでしこジャパンも、勇気をもってタテへ仕掛けていけるようなったこと(後方からのサポートが充実すれば、前戦プレイヤーも、より確実にポストプレーが出来る!)・・

 ・・タマゴが先か、ニワトリが先か・・私は、この「変容プロセス」について、なでしこジャパンのペースアップという要素の方が、より大きくゲームの流れに作用したと思う・・

 結局、箇条書きになってしまった。

 それにしても、自国内にリーグがない北朝鮮女子代表は、まさに「純粋培養」されたプロ集団として、異様なまでの闘う意志のオーラを放散していた。

 その主たるモティベーションは?? 経済的な要素!? 家族的・地域的なモノも含めた社会的な要素!? とにかく、その社会システムがつづく限り、闘う意志という要素において、彼らを凌(しの)ぐのは至難のワザだろうね。フ〜〜・・

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いま、中国vsオーストラリアの勝負マッチを見終わりました。

 ヤッタ〜〜ッ!! オメデトウ、なでしこジャパンッ!!! 心から祝福します。また、佐々木則夫さんにも(望月コーチにも)、お疲れ様でしたと声を掛けたい筆者なのでした。

 皆さんは日本のアイデンティティー(誇り)です。

 ということで告知ですが、私は、明日(金曜日)から、私用で外国へ行かなければならなくなりました。たぶん、2週間くらい日本を留守することになりそうなのですが、その間、テーマが見つかれば、ランダムにコラムをアップしますので。

 ではまた・・

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 ちょっと話題は変わりますが・・。

 このところ、わたしが愛用しているウエストバッグやバックパックについて質問してくる方々が増えています。ということで、それを軽くご紹介することにしました。

 ブランドは、METAS(メタス)といいます。

 以前「サザビー」という有名ブランドのチーフデザイナーを務めていたわたしの友人が、10年前に独立して作り上げたプライベートブランド。その、痒(かゆ)いところにも楽に手が届くっちゅう感じの、実用的なアイデアが満載されたビジネスツールが、とても気に入ってます。

 METAS(メタス) が扱っているのは、わたしが愛用するウエストバッグやバックパックだけじゃなく、ショルダーバッグやハンドバッグ、はたまたボストンバッグやブリーフケース等もあります。

 全体的なデザインはオーソドックス(どこか懐かしいスタンダード・・というのがコンセプトらしい)だけれど、高質な材料の選択や、その素敵な組み合わせだけじゃなく、細かな気配りアイデアにも感嘆させられるスグレモノです。使い込めば込むほど(長寿もコンセプトの一環!?)、愛着がわいてくる。そして、安物とは違い、古くなればなるほど、素敵なチャック金具やおしゃれな裏地といった「細かなデザイン」が光り輝いてくる。

 ちょっと誉めすぎ!? まあ私は、メタスの哲学と、それを具現化したバッグ類を、とても気に入っているのですよ。

 様々なタイプのバッグを日々のアクションに活用している方々こそが、その細かな気配りアイデアを高く評価するに違いないと確信する筆者なのでした。ちょっと「押し」過ぎ!? あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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