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- 2012_UCL・・常識を超越するバルセロナ・・(ミランvsバルサ、 0-0)・・(2012年3月29日、木曜日)
- すごいネ〜、バルセロナ。久しぶりのゴール無しドローだったけれど、「あの」ACミランを、それも彼らのホーム(スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ)で圧倒した。
バルセロナの攻守にわたる「凄さのメカニズム」については、今年に入ってから何度かレポートした。それについては、バルサコラム「その1」と「その2」と「その3」、クラシココラム「その1」と「その2」、そしてドイツ・ブンデスリーガの雄レーヴァークーゼンを粉砕したときの「UCLコラム」もあったっけ。
でも、ここでは、ちょっと視点を変えよう。そう、最終勝負プロセス・・
その視点が面白いかも・・。素早い攻守の切り替えから、すぐに(相手のボールの動きを制限することで!)集中してボールを奪いかえしてしまう守備とか、素早いリズムでボールを動かしつづける組み立てとか、いろいろと面白い視点はあるけれど、やっぱりハイライトは、攻撃の真の目的である(!)シュートへ至る最終勝負シーンだよね。
そこには、ヤツらにしか出来ない突出した現象がある。だから、常識外れ。
チャンスメイクでは、相手守備ブロックの人数が少ない「ショートカウンター」や典型的「カウンター」シーンが最高のシチュエーションだと考えられている。実際に、統計的にも、そのような結果が出ている(セットプレー以外の流れのなかからの仕掛けでは、何といってもカウンター状況でのゴールが多い!)。
でも、バルセロナの場合は違う。彼らは、まさに意図的に、相手守備の「人数を集中」させるようにゲームを組み立てていくんだよ。
最終勝負のファウンデーション(準備段階)では、しっかりとボールを動かすことでポゼッション(ボール保持率)を上げることを意図する。だから相手守備は、完全にブロックを組める状況がほとんど。
そしてバルサは、そんな強固なブロックへ向けて、おもむろに仕掛けていくのです。それも、中央ゾーンを割って入る。もちろんサイドのスペースを使うこともあるけれど、基本は中央ゾーン。あくまでも中央突破。シャビやイニエスタの「突っ掛けドリブル」、メッシの突破ドリブル等などを『キッカケ』にしたコンビネーションを駆使して・・ね。
もちろんバルサのチャンスメイクでは、一発ロング(カウンター)や、シンプルな展開からの高速クロスもある。それは、それで、とても危険。でも、誰もがイメージする「バルサ的な仕掛け」ってさ、何といっても、完璧に組み上がった「強固な相手守備ブロック」を、スーパー勝負ドリブル&コンビネーションで崩していくシーンでしょ。
そこでのキーワードは、何といっても「3人目4人目の動き」と「それをイメージした勝負ドリブルやワンツーコンビネーション」ということですかね。
最終勝負シーンで彼らがアタマのなかに描写する「リズム」の基本は、ワンツーの組み合わせなんだろうね。
ワンツー・・ワンツースリー・・ワンツースリーフォー・・etc....
そんな「最終勝負コンビネーション」のリズムがしっかりとイメージできているからこそ、最初のワンツーで抜け出したフリーランニングを『最後まで続けられる』し、そのコンビネーションとは「違うゾーン」から仕掛ける3人目、4人目の人の動きも、正確に、基本コンビネーション(ワンツー)のリズムに乗ってこられる。
観戦するときは、そんなバルサのコンビネーションが始まったときの『相手ディフェンスの視線』を観察するのが面白い。バルサのボールの動き(メッシやシャビの勝負ドリブルやコンビネーション!)に釘付けになってしまっていることがほとんどなんだよ。
だから、3人目、4人目の動きに付いていけない。彼らにとっては、バルサの3人目、4人目は、完全に「消えた選手」っちゅうことになってしまっている。
また、ギリギリの「オフサイド破り」も見所。アレクシス・サンチェス(バルサの佐藤寿人!?)に代表される、相手最終ラインの(センターバックの二人の!)間をすり抜けていく決定的フリーランニングは見所だぜ。そのコースやタイミング。これもまた、バルセロナ最終勝負の見所です。
そう・・勝負は、ボールがないところで決まる・・のです。
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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