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2012_WM最終予選・・本田圭佑も含め、素晴らしく頼もしかった日本代表・・(日本vsオマーン、 3-0)・・(2012年6月3日、日曜日)

いや・・ホント・・良かったネ〜・・日本代表のサッカー内容も、ゲームの(とても順当な!)結果も、そして本田圭佑も・・

 前言を撤回するつもりはないし、彼が先制ゴールを決めたからというわけでもない。とにかく、このゲームでの本田圭佑は、まさに見違えるほどの素晴らしいプレーを魅せた。・・攻守にわたって・・またボールがないところでも・・

 本田圭佑については、以前「こんなコラム」を発表したことがあるし、先週のアゼルバイジャン戦での低調なパフォーマンスに対し(アタマにきて!?)厳しいコメントを綴(つづ)った。だからこそ、逆に、今日の素晴らしいパフォーマンスを、心から褒(ほ)め称(たたえ)えたい。

 いや、ホント、本音で嬉しいよ。でも逆に、本田圭佑パフォーマンスの大きなアップダウンには閉口する。やれば出来るんだから、常に最高レベルでパフォーマンスを安定させるように努力しよう。そうすれば、すぐにでも「本物の世界」がキミをチェイスし始めるに違いない。

 ということで、本田圭佑について、ザッケローニさんに聞いた。

 ・・この試合での本田圭佑のパフォーマンスだが、彼のところでボールの動きが停滞することはなかったし、ボールがないところでも、ホントによく動いた・・また、ディフェンスに入るために何十メートルも『全力で』戻るシーンを、何度も魅せた・・その良いパフォーマンスだが、ザッケローニさんは、彼に対して、どんな魔法をかけたのか?・・

 あくまでもクールフェイスで真面目に応えるアルベルト・ザッケローニ。曰く・・

 ・・彼は、アゼルバイジャン戦の前、一年ほどプレー出来ていなかった・・だから時間が必要だった(!?)・・ホンダはボールを確実にキープできる・・だから、周りのボールがないところでの動きが出てくれば、彼も(効果的なタイミングで)ボールを離すんだよ・・

 ・・そのことで、チーム全体としてのボールの動きが活性化する・・それに今日の彼は、ボール絡みだけじゃなく、ボールがないところでもしっりと動き、パスのターゲットにもなったし(タメの演出!?)、味方にスペースも作り出した・・その動きは、しっかりと効いていたんだよ・・何せ、彼には、ときには複数のマンマークが付いていたんだからな・・

 フムフム。そう、その通り。現象面はネ・・。でも私の質問の骨子は、彼のパフォーマンスが「そのレベル」までアップした背景には、ザッケローニさんによる何らかの刺激があったでしょ?・・それは、何?・・っちゅうモノだったんですけれど・・まあいいか・・あははっ・・

 もちろん私は、本田圭佑という、優れたインテリジェンスのパーソナリティーが、しっかりとした自覚をもって(自分もチームの中心の一人だという自覚をもって!?)プレーしたという背景要因だけじゃなく、ザッケローニが言うように、周りの味方のボールがないところでの動きが活性化したことも、大きな要因だったと思うわけです。

 その動きは、2列目のトリオ(本田圭佑、岡崎慎司、香川真司)の活発なポジションチェンジだけじゃなく、後方からサポートする遠藤保仁&長谷部誠のダブルボランチと両サイドバック(長友佑都と内田篤人=酒井宏樹=)の、活発で創造的&想像的な動きもあったと思う。

 まあ、特に、ダブルボランチとの信頼関係が、とても大きかったよね。そう、後方からのサポートや次の守備へのリスクマネージメントだけじゃなく、ゲームメイクやチャンスメイク、リンクマンなど、マルチタスクをこなす長谷部誠と遠藤保仁のダブルボランチ。

 前回のアゼルバイジャン戦コラムじゃ、「後方から睨(にら)みを効かす」なんて書いたけれど、今日の試合内容からは、「互いの信頼関係」という表現がふさわしいと感じた。

 互いの守備意識に対する信頼関係・・本田圭佑のボールキープ能力に対する信頼と、だからこその後方からのサポートの活性化などなど・・良い良い・・

 とにかく、本田圭佑の、ストライカー、トップ下、そして後方リンクマン的なプレーに、確固たる「リズム」が出てきていると感じますよ。要は、シンプル&忠実なパス&ムーブが、とても自然に、流れるように繰り返されるようになったということです。だからこそ、周りとのコンビネーションがうまく機能する・・特に、両ボランチとのイメージコンビのネーション・・

 まあ、本田圭佑については、こんなところですかね。それにしても日本代表は、ゲームの立ち上がりから、とても力強く、効果的にゲームを支配しつづけていたよね。だから、長友佑都の爆発オーバーラップ&正確クロスから本田圭佑がブチ込んだ先制ゴールは、とても順当な結果だったと思う。

 その後も、決してペースが落ちるわけじゃなく、しっかりとした組織ディフェンスから効果的にボールを奪いかえし、日本的な「組織コンビネーションサッカー」を、爽快に機能させつづけてくれた。

 ザッケローニ曰く、「・・最後のところでは、しっかりと人数を掛けられていた・・そのようにリスクへもチャレンジしたからこそ、何度も、流れのなかからでもチャンスを作り出せた・・」

 そして日本の強者どもは、後半の6分と9分に追加ゴールを挙げちゃうのです。

 大事なコトは、ザッケローニが言っていたように、ゲームを支配し、リスクにもチャレンジしながら攻め立てている状況でも、後方では、しっかりとリスクヘッジ(リスクマネージメント)が機能していたということです。だからオマーンも、簡単にはカウンターを成就させられなかった。

 ザッケローニさんは、こんな興味深い指摘もしていたっけね。曰く・・

 ・・パスの距離感が、数メートルではなく、15メートルくらいだったことと、そこで素早いリズムでボールを動かせたことが良かった・・それで日本の良さが出る・・だから、ハーフタイムには、ボールがないところでの動きの量と質を落とさないようにというハナシをした・・

 たしかに、半径数メートルという小さなパス展開じゃ、狭すぎるからうまくいかない。そうではなく、互いの距離感を15メートルくらいにすれば、スペースマネージメントも上手くいく。そのことを言っていたんだろうね。まあ、この次に機会があったら、もう少し詳しいところを質問してみよう。

 ということで、「3-0」というリードを奪った日本代表。もちろん余裕が出てくる。だからこそ私は、彼らの理想イメージを示唆するような組織サッカーが随所に表現されたと思っているのですよ。

 彼らが、自分たちの理想サッカーを表現できた(効果的に機能させられた)という事実は、とても、とても大事だったと思う。

 ・・前田遼一を除き、その後ろの5人プラス両サイドバックが、前後左右にポジションチェンジを繰り返す(もちろんサイドバックは自分のサイドにいるけどネ)・・そして、人とボールが、素早く、大きく動きつづけ、オマーン選手をキリキリ舞いさせちゃう・・それでも次のディフェンスのリスクマネージメントも上手く機能させられている・・そう、そんなハイレベルな組織(コンビネーション)サッカーが観られたように感じた・・でもまあ、その骨格のコアは、ダブルボランチの攻守にわたるアクションラディウス(行動半径)の大きさと、プレー内容の多彩さってなところかな・・

 それと、「3-0」というリードを奪った後のゲーム展開について、もう一つポイントがあった。失うモノがなくなり、全力で攻め上がってきたオマーンというポイント。

 人数を掛けて攻め上がってくるオマーン。フィジカルとテクニックでは遜色ない彼らのことだから、その迫力は推して知るべし。

 でも、そんな大迫力の仕掛けも、日本守備ブロックによって、すぐに無力化されてしまうのですよ。そう、ここで言いたかったポイントは、ものすごく強い、日本の守備ブロック・・

 要は、攻め込まれたからこそ、日本代表のディフェンスの強さが際立ったということなんだけれど、両サイドハーフも含めた8人で組織する守備ブロックに、前述したように、本田圭佑も効果的に絡んでくるんだよ。そりゃ、強いはずだ。

 そんななかで、今野泰幸と吉田麻也で組むセンターバックコンビ、そして長友佑都と内田篤人(酒井宏樹)の両サイドバックが、とにかく強力だと感じた。

 オマーン選手の個のチカラは侮(あなど)れない。それでも、局面での競り合いで、日本の最終ラインの面々が負けたシーンが一つも見当たらない。今野泰幸の、余裕のボール奪取勝負や吉田麻也の強烈なヘディングを何度目撃したことか。頼もしい・・

 ということで、今日は、このあたりで・・オヤスミナサイ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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