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2020_なでしこ・・「格下」に完敗という、貴重な学習機会・・(なでしこvsスペイン、1-3)・・(2020年3月6日、金曜日)

フム〜〜ッ・・

やっぱり、「守備こそが全てのスタートライン」なんだよな〜〜・・

・・ボール奪取プロセスの機能性アップをベースにしたイニシアチブの掌握・・

・・次の攻撃での、ボールがないところでのサポートの動きの活性化・・

・・等など・・

そう、守備(ボール奪取プロセス)の機能性アップという絶対ベースこそが、サッカー内容を決めるということが、言いたかった。

ゲームを観ながら、そんなディスカッションがアタマを占拠していたんだ。

もちろん「なでしこ」も、攻守にわたる「優れた組織サッカー」という持ち味を感じさせるシーンは創り出した。

でも、「ボール奪取プロセスの内実」、そして「スペース攻略からのゴール機会の内実・・」という、ゲームの趨勢を決めるコア価値からすれば、やっぱり、完敗。

とにかく、ゲームへの入り方(イメージ=意識と意志=の準備と実際のアクション内容!?)が、悪かった。

そこから、意識と意志を「最高潮」まで持ち直していくのは、至難のワザだよ。

そう、立ち上がりの内容が、全体内容に及ぼす影響は、とても大きいということ。

実は・・

私は、このゲームを、とても楽しみにしていたんだ。

それは・・

昨年のフランスW杯での決勝トーナメント1回戦で、W杯を制したアメリカを、とことん苦しめた、「組織サッカーの権化」なんて賞賛が似合うスペイン女子代表だからね。

彼女たちは、とても、とても優れたチームなんだ。

聞くところによると、監督さんは、このチームを受けもって既に4年、5年が経過しているとのこと。

継続こそチカラなり・・ね・・

さもありなん・・

このところ、カタール(男子)代表など、スペイン人プロコーチが、世界での自国イメージをアップさせているわけだけれど、その、「攻守にわたる優れた組織サッカーへの理解」を考えれば、それも、自然な成り行きとも言えそうだよね。

もちろん最後は、それぞれのプロコーチの「個のチカラ」が問われるわけだけれど・・

でもサ・・

その「個のチカラ」にしても、結局は、心理・精神的、インテリジェンス&哲学的、そして物理的な基盤(まあ総体パーソナリティ)等、彼らが育った社会&サッカー文化によって培われたわけだから・・

あっと、ゲーム・・

とにかく、スペイン代表が魅せた組織サッカーの素晴らしさばかりが目に付いたゲームだった。

もちろん「なでしこ」が、スペインを甘く見た・・なんてことは考えられない。

そうではなく・・

女子サッカーが発展すればするほど、その絶対バックボーンである、それぞれの社会(サッカー)文化基盤によって、「内容が充填されていく・・」という事実を噛みしめている筆者なんだよ。

私は、ドイツ留学時代に、恩師でもある、故ゲロー・ビーザンツが女子サッカー(ドイツ女子代表)を組織的に立ち上げた「黎明期の苦労」を体感している。

そんなコトもあって、究極の「組織サッカー」で、世界のトップに上り詰めた2011年の「澤穂希なでしこ」を、心から、誇りに感じていたんだ(当時の、このコラムとか、あのコラム等などをご参照あれ!)。

でも・・

そう、同時に、列強フットボールネーションの女子代表が、サッカーの本質に立ち返ったら、今度は、「なでしこ」が苦労させられることになると確信していたのさ。

何せ、フィジカルだけではなく、女子サッカーの日常を支える、サッカー(伝統)文化の内実も含む「社会ベース」という視点では、明らかな「差」があるわけだから・・

あっと・・またまた脱線・・

ということで、このスペイン戦で言いたかった戦術的コアテーマだけれど・・

それは・・

守備の内実こそがゲームの趨勢を決める・・でした。

その、スペインの組織サッカー・・

とにかく、絶対ベースである「前からプレス守備」の機能性が素晴らしかった。

そして、その絶対ベースが機能していたからこそ、「そこ」から繰り出す、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションも、鳥肌が立つほど美しく回りつづけたんだよ。

何せ、(自分たちの守備に自信と確信があるからこそ!?)どんどんと、ボールがないところでのサポートの動きが活性化していくんだから。

ということで、この試合での「なでしこ」は、完敗。

とはいっても、「1-3」とリードを奪われてからは、(まあスペインがペースをダウンさせたこともあったけれど・・)なでしこが、攻守にわたって積極的になったことで、「自分たちのサッカー」を再活性化させられたのも確かな事実。

前からプレス守備にしても、次の攻撃での「人数の掛け方」にしても・・

そこには、誰もがイメージする「強いなでしこ」が、いた。

まあ、とにかく、切り替えて、次のイングランド戦に臨みましょう。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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