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2020_なでしこ・・戦術的にも進化しつづける列強を相手に、「美しく勝ち切る」という視点で、理想的なゲーム展開イメージだったのに・・(なでしこvsイングランド、0-1)・・(2020年3月9日、月曜日)

えっ!?

そのとき、またまた、頓狂な声を出してしまった。

もちろん、「あの」決勝失点のシーンだよ。

キッカケのボール奪取を演出したのは、イングランドの11番。

彼女は、狙っていた。

そう、杉田妃和から、横パスが送り込まれた三宅史織のトコロでボールを奪い返すシーンを、鮮明にイメージしていたんだ。

だから、パスを受ける三宅史織に対して、強烈な勢いで「寄せて」いき、最後の瞬間に、スッとスプリントを止め、どんなプレーにも柔軟に対応しようと身構えた。

そんな、レベルを超えたイングランド11番の「寄せの勢い」に対して・・

三宅史織は、ダイレクトのタテパスを送り出そうとするんだよ。

でも、その11番は、最後の瞬間に、ピタリと止まって身構えた。

たぶん・・

三宅史織は、そんな、相手アクションの急激な「変化」に、少し惑わされたのかもしれないね。

フ〜〜ッ・・

とにかく「なでしこ」は、その痛恨ミスによって、このゲームで積み上げてきた「何らかの自信と確信のバックボーン」を失ってしまったとまで言えるかもしれない。

だからこそ、とても、とても悔やまれる失点シーンだった。

前半・・

「なでしこ」が、素晴らしく連動する「前からプレス守備」によって、ゲームのイニシアチブを握る。

そのなかで、スーパーボランチ杉田妃和が、思い切りのよいミドル弾をブチかましたり、田中美南のドリブル勝負&シュートにトライするなど、何度も、優れた勝負シーンを創り出した。

とはいっても、イングランドも・・

一発ロング勝負をイメージするカウンターをブチかますなど、何度か、チャンスの流れだけじゃなく、ゴール機会までも創り出した。

わたしは、そんなカウンターピンチを観ながら、「やっぱり・・フィジカル要素が活かされるカウンターイメージでゲームに臨まれたら、厳しくなるな・・」なんて感じたモノさ。

でも、すぐに・・

「いやいや・・スペイン戦じゃ、彼らがブチかます、なでしこのお株を奪う組織サッカーで、内容でも圧倒されたじゃないか・・」なんて、思い直した。

つまり・・

フィジカルで一日以上の長があるフットボールネーションが、「なでしこ」と同等のテクニック&タクティックスを前面に押し出すサッカーを展開したら(その統一イメージでゲームに臨んできたら!?)、どちらにしても厳しい勝負になるっちゅうことだね。

そのことは、2011年ドイツW杯以降の世界大会で、何度も体感させられている。

ヨーロッパの仲間も、2011年の「澤穂希なでしこ」が展開した「トータル組織サッカー」に、かなり刺激されたと吐露していたっけ。

そのテーマについては、「このコラム」「あのコラム」、また「あんなコラム」「国際会議レボート」をご参照あれ。

そして、後半・・

今度はイングランドが、よりリキを入れた前からプレス守備をベースに(連動する人数とやり方の徹底!)、イニシアチブを握り返しはじめるんだ。

まあ・・守備こそが、全てのスタートライン・・っちゅう大原則・・

もちろん、この、「前半と後半のゲーム展開の変容」のすべてが、前からプレス守備の内実によるものだとは思わない。

それでも・・

「イニシアチブを握る」というグラウンド上の現象にとって重要なファクターのなかでは、やはり、ボール奪取プロセスのイメージングを、チーム全体が、明確に共有する(シェアする)コトこそが決定的な意味をもつ・・と思うんだよ。

その絶対ベースがうまく機能すれば・・

互いのポジショニングバランスや相手ボールの追い込み方イメージ、(バランスをブレイクしてマン・オリエンテッド守備へ移行するなかでの!)次の相手パス レシーバーとの「間合いや寄せ方」、またそのプロセスでのカバーリングアクション等などといった、細かな、守備での個人&グループ戦術だけじゃなく・・

その後の攻撃の内実にも(要は、ボールがないところでの仕事を探しまくるプレー内容にも!)、決定的な「モティベーションとイメージング的な影響」を及ぼすんだ。

まあ、言葉で表現し切るのは難しいけれど・・サ。

ということで・・

ゲーム内容的に、わたしがイメージする、列強フットボールネーションに「勝ち切る」というイメージが、かなり理想的な(美しい!?)カタチで成就しようとしていた「そのタイミング」で起きてしまった「あのミス」が悔やまれて仕方なかった筆者なのであ〜る。

さて、次の最終戦では、世界チャンピオンのUSAと対峙する。

どこまで食い下がれるか、高倉麻子監督のウデの見せ所じゃありませんか。

ガンバレ〜ッ!!

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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